「日本伝統色」既登場色シリーズ
Since 2000.1.7
出典 「日本伝統色色名事典」 (監修 社団法人日本流行色協会 発行 日本色研事業株式会社) 



紅(べに)
撫子(なでしこ)
紅梅(こうばい)
牡丹(ぼたん)
エジプト原産のアザミに
似たキク科の植物紅花(
ベニバナ)から抽出した
紅色素(カーサミン)で染
めた色をいう。
桜、薄紅と同じく淡い紅染
による色名で、ピンク系統
の色名の中では少し紫み
のものをさしていわれる。
紅梅の花からきた色名で
、古くから用いられてきた
が、明治、大正に一般的
に普及した。
牡丹の原種に近い花の色
は赤紫色だが、その花の
色からきた冴えた紫みの
赤を牡丹色という。
小豆色(あずきいろ)
本緋(ほんひ)
梅茶(うめちゃ)
弁柄(べんがら)
小豆即ち赤小豆のような
色をいい、この色名はか
なり広く用いられている。
紫みのくすんだ赤色であ
る。
緋は、火の色に通ずると
いう考え方があり、長い
生命力を保ち続けている
色名の一つである。
梅の樹皮の煎汁による梅
染の色からきた色名で、
梅染による黄みの明るい
茶色である。
弁柄は鉄丹ともいい、
酸化第二鉄を成分とし、
鉄分の多い土中に産し、
それを焼いて作られる
人造の無機顔料である。
蘇枋(すおう)
深緋(ふかひ)
銀朱(ぎんしゅ)
朱(しゅ)
蘇枋は豆科の植物で、
その心材部及び実を煎じ
て染料とするが、飛鳥・
奈良時代から重要な
赤色染料とされてきた。
「延喜式・縫殿寮」では
緋を深・浅に分けており、
その濃いほうが深緋で、
こきひとも読む
天然に産する真朱に対し
、銀朱は水銀を用いた
人造の朱のことである。
朱は本来、赤色の顔料で
あり、現在では朱というと
洋色名のバーミリオンをさ
す。また古来より厄除け
の意味を持っている。
躑躅(つつじ)
柿(かき)
曙色(あけぼのいろ)
欝金(うこん)
赤い躑躅の花からきた
色名で、強い調子の紫味
の赤をさす。
柿の実の色からきた色名
であるが、オレンジ系の
色名として柿色は幅広い
範囲をさして用いられてい
夜明けの頃を曙といい、
また東雲(しののめ)とも
いう。その情景からきた
色名であり、鮭色も同系
色の色である。
欝金は熱帯アジア原産
のショウガ科の多年生
草本で、根茎は肥大して
黄色を帯びる。
山吹(やまぶき)
鶸色(ひわいろ)
若草色(わかくさいろ)
萠黄(もえぎ)
黄色の花からきた色名
は少なく、この山吹色が
菜の花色とともに広く用
いられる。。
木蘗(きはだ)などの
黄色系染料に淡く藍を
交染してえられれる色。
春先に見られる若々
しい草の色ということで、
鮮やかな黄みの緑で
ある。
萠黄は、春先に草や
木の葉の萠え出る緑の
色と言われ、平安朝の
頃から広く用いられて
きた色名。
浅葱(あさぎ)
萠葱(もえぎ)
裏葉(うらは)
鶸萌黄(ひわもえぎ)
浅葱は、藍染の浅いとこ
ろから現れる色で葱の色
に似ていることから浅葱と
言われる。
木綿染の濃緑色のもえぎ
は、江戸の宝永年代に
蚊帳の地色として流行
した。
平安朝から広く使われて
いる色名で、草や木の葉
の葉裏のような白味の
緑色をいう。
鶸色は緑みの黄色を
代表する色名で、より
青みの黄緑色になると
鶸萌黄とよばれた。
木賊(とくさ)
青竹(あおたけ)
緑青(ろくしょう)
白緑(びゃくろく)
木賊はシダ類の一種で
砥草とも書く。茎が硬く、
木などを磨くのに用い
られた。
青竹の肌の色からくる
色名で、青みの緑系の
色を表す代表的色名で
ある。
緑青は別名銅青、石緑
ともいわれ、飛鳥・奈良
時代に中国から伝えられ
た緑色の顔料である。
白緑は、緑青の色の淡い
白味のもので、緑青同様
、日本画の絵具でもある。
瓶覗(かめのぞき)
水縹(みずはなだ)
露草(つゆくさ)
百群(びゃくぐん)
瓶覗とは、藍瓶を覗いた
程度にちょっと染めたと
言う意味で。薄い浅葱色
程度の色をさす。
縹は古くから知られた藍
染の色で、四段階に分け
られるが、万葉集にも読
まれる淡い藍染の色。
露草は古名を着草と
言い、万葉の人はその
花汁を摺染の染料に
用いていた。
顔料の群青の粒子を
さらに微細にしたもので、
濃青色の群青に対して、
白味の淡青色となる。
空(そら)
群青(ぐんじょう)
新橋(しんばし)
紺青(こんじょう)
空は,青空の色と言う
意味の用い方で、天と
書いてそらと読んだり、
真空色とも使われる。
中国より渡来した顔料で、
青色顔料として飛鳥時代
より既に使われている。
東京・新橋の芸者達に
愛好された色と言うこと
から新橋色と呼ばれて
明治末期から大正に
かけて流行した。
群青とともに古く中国より
渡来した青色顔料で、特
に冴えた紫みのものを、
紺青とよんだ。
紺(こん)
藍(あい)
瑠璃(るり)
納戸(なんど)
藍染で最も濃く現われる
青である。藍染専門業を
紺屋(こうや)と言うように
、紺は広く親しまれた色で
紺を冠した用語は多い。
藍は、最も古くから用い
られた染料の一つだが、
染色には専ら中国から
伝わった蓼藍が使われ
るようになった。
瑠璃は、日本では古来
より七宝の一つとして
珍重されたペルシャを
中心に産する、濃青色の
宝石の色である。
納戸は、古くは花色の
くすんだ系統、即ち鼠の
藍染めの色をさして言わ
れたが、後世は緑味の強
い藍色として一般化した。
藤(ふじ)
紅藤(べにふじ)
藤紫(ふじむらさき)
菫(すみれ)
藤の花から来た色名で、
紫の薄色として古くから
使われたものである。

紅藤は、赤味のある藤色
のことである。和装の色と
して藤色は年増向き、
紅藤は若向きの色として
区別されていた。
藤色より少し濃い目の
青味によった色で、明治
から大正にかけてこの
呼び名が流行したが、
今は藤色とも呼ばれる。
菫の花からきた色名で、
やや青味の濃い紫で、
明治大正期にはその
西欧風なおもむきにより、
流行した色名である。
葡萄色(えびいろ)
菖蒲(あやめ
江戸紫(えどむらさき)
濃色(こいろ)
えびはぶどうの古名で、
現在は葡萄と書いて
「ぶどう」と読むが、昔は
「えび」と読んだ。
「しょうぶ」とも「あやめ」
とも読むが、色名は
あやめの花のやや青味
の紫色からきている。
武蔵野は紫草ゆかり
の地とされ、そこに自生
する紫草で染められた紫
を江戸紫と言った。
濃色というのは、文字通り
濃い色という意味なので、
どのような色でも該当する
が、特定の使い方として
は濃い紫色をさす。
藤鼠(ふじねず)
利休鼠(りきゅうねず)
若竹(わかたけ)
梅鼠(うめねず)
藤色味をおびた鼠色で
ある。藤色は婦人の和服
の色として好まれて、明治
の中頃から大正にかけて
たびたび流行した。
茶人、千利休に因んで、
染色関係では抹茶の
色の連想から緑色を
おびた鼠色をさして
使われる。
「若」は若々しい、新しい
という意味から、色名と
しては鮮やかさの形容
として用いられる。
梅は紅梅の花の色から
きた赤味の色の形容に
用いられ、この場合は
赤味のある鼠色と言う
ことである。
根岸色(ねぎしいろ)
葡萄鼠(えびねず)
橡(つるばみ)
鉄(てつ)
根岸色は壁の色から
きた色名の一つで、
近世になり使われる
ようになった。
葡萄色に対し葡萄茶の
名称が生まれたように、
葡萄色をおびた鼠、即ち
赤紫みの鼠色を葡萄鼠
と言うようになった。
橡は、くぬぎの古名で、
その実(どんぐりの一種)
は上代より染色に用い
られ、鉄媒染では黒みの
鼠色となる。
藍染で出される色の中
でも緑みの濃い青に対
してほかに適当な色名
が無いので、鉄色と呼
ばれた。
縹(はなだ)
紫苑(しおん)
桔梗(ききょう)
素鼠(すねず)
縹は、古くから知られた
藍染の色名の一つで、
「日本書紀」に既に深縹、
浅縹の服色名が見られ
る。
紫苑は、キク科の多年
生草本で、秋に薄紫色
の美しい花を開き、色名
はその花の色からきて
いる。
桔梗の花の色からきた
色名で、実際の花の色
より濃く青味の強い紫
に用いられている。
鼠は、元来動物の鼠から
きた色名であるが、ある
色がくすんだり、灰みを
おびたものは何々鼠と
呼ばれた。
菜の花色
宍色(ししいろ)
桜(さくら)
そひ
菜の花の色からきた色名
で、山吹色とともに数少な
い黄系の花の色からきた
色名の一つである。
宍は肉の古語で、天平
時代から用いられていた
が、後世の肉色、肌色と
同じに使われた。
桜の花の色からきた
色名であるが、紅染の
最も淡い色で、薄紅色
も同じに用いられる。
緋色の淡色のことを
そひと言い、緋と同じ
ように灰汁媒染に
よる茜染で染められた
黄赤である。
臙脂色(えんじいろ)
赤蘇枋(あかすおう)
洗朱(あらいしゅ)
柑子色(こうじいろ)
臙脂は,動物性染料を
用いる場合と、植物性
染料を用いる場合があ
る。中国産の紅花で作
られる紅は臙脂紅。
蘇枋染の色としては、
灰汁媒染による赤紫み
の蘇枋に対して、明礬
媒染によって現れる赤
である。
「洗」は布を洗うことに
よって色が薄くなって
くるという意味の形容詞
で、明るい範囲の色を
さして言われる。
柑子は中古における
橘と同じで、今日の蜜柑
とは区別され、その色も
より淡色である。色名は
その実からきたもの。
木枯茶(きからちゃ)
雀茶(すずめちゃ)
代赭(たいしゃ)
金茶(きんちゃ)
江戸から明治にかけて
使われた色名で、
黄唐茶黄枯茶とも書き、
こがれちゃとも読む。
鳶と同じように鳥に
因む色名の一つで、
雀の頭部から背に
かけての色からきている。
弁柄や黄土と同じく
酸化第二鉄を成分
とし、赤土中に産する
天然の赤褐色の顔料
である。
赤味の白茶系統の色を
古くは金茶と言ったが、
後世では金色の
感じの茶とされた。
松葉(まつば)
柳葉(やなぎは)
木賊(とくさ)
海松(みる)
緑色の代表的色名と
して青竹とともによく
用いられる。やや青味の
青竹に対して、松葉は
濃い緑に使われる。
柳の葉の色からきた、
やや白味の黄緑系の
緑のことをいう。
柳色、草柳も同じように
使われる。
木賊はシダ類の一種の
植物で砥草とも書く。
その茎は硬いので、
サンドペーパーのように
木を磨くのに用いられた。
海松は海藻の一種で、
その色からきた色名で
ある。洋色名のオリーブ
が登場するまで広く
用いられた。.
紫紺(しこん)
千歳緑(ちとせみどり)
きくじん
山藍摺(やまあいずり)
紺は、濃く染めると染上
がりの表面が赤味を
おび、その色をさして
紫紺といわれる。
常緑の松の緑という意味
から、縁起に因んだ美称
として千歳緑の名称が
つけれたもので、
せんさいみどりとも読む。
きくじんは、天皇が儀式
の時に着用する袍(ほう)
の色である黄櫨染に対し
、平常時の袍の色とされ
禁色であった。
藍染めは普通蓼藍(たで
あい)を用いるが、日本に
古来から自生する山藍も
染色に用いられていた。
熨斗目色(のしめいろ)
青磁(せいじ)
藍白(あいじろ)
本紫(ほんむらさき)
熨斗目(のしめ)は、江戸
時代に裃(かみしも)の
下に着た小袖で、その
地色に使われた色の意。
青磁は青緑系の磁器の
一種で、その発色は
黄み、青味、濃色、
薄色、あるいは高彩度、
低彩度などと幅が広い。
藍白は藍染め工程の
最も初期の段階で
得られる、ごく薄い
藍染めの色である。
紫は、紅や藍とともに
古くから用いられた色で
、昔から紫には高貴な
ものと言う象徴的な意味
が込められていた。
枯草(かれくさ)
玉子色(たまごいろ)
支子(くちなし)
丁子(ちょうじ)
草の枯れた状態に
見られる色であり、
枯れ色ともいい、
枯野色も同じに使わ
れる。
卵の黄身からきた色名
で、茹で卵の黄身の
ような、淡い黄色をさす。
支子の黄色染料は
無毒なので、古来から
食品用の着色料として
広く用いられている。
丁子は香木の丁子の
煎汁で染め出される色
で、香色、香染と同じ
系統の色をさして用い
られる。
木蘗(きはだ)
砥粉色(とのこいろ)
香(こう)
弁柄(べんがら)
木蘗は山地に自生する
ミカン科の落葉喬木で、
その樹皮の煎汁を黄色
染料とする。
砥粉は、刃物を砥ぐ際
に砥石からでる粉末で
、白木の化粧や漆器の
下塗などに用いられる。
丁子や木蘭その他の
香木を煮出して染める
ことを香染といい、その
色を香色といった。
弁柄は鉄丹ともいい、
代赭などと同じ酸化
第二鉄を成分とした、
人造の無機顔料で
ある。
千歳茶(せんさいちゃ)
鶯(うぐいす)
老竹(おいたけ)
青白橡(アオシロツルバミ)
江戸時代には「四十八茶
百鼠」と言うほど様々な
中間色が出揃ったが、
オリーブ系の渋い色も
茶とよばれていた。
鶯は江戸時代以降に現わ
れるようになった色名で、
数少ないオリーブ系の
和色名の一つとして現在
でもよく用いられている。
伝統色名では、「老」は、
「若」の鮮やかな調子に
対し、くすんだ鈍い調子
の色の形容に用いられ
る。
橡は現在のクヌギで、
青白橡は「延喜式」に
出てくる色名で、橡の
中の青みのものをいう。
墨(すみ)
書画に用いられる墨は、
油煙や松煙(すすの一種)
を膠(にかわ)で練り、
香料を加え固めたもので、
色名はその墨の色から
きている。